強風Hike

真っ白の霧氷の向こうに大きく広がる伊勢平野。
北に目を遣れば鈴鹿北部の山並み。
神々しいほどの景色を前にして
私の身体は身動きが出来ない。息も出来ない。
出来ない筈だ。富士山並みの強風に前の岩に押し付けられていたのだった。
風上を向いていたら息なんてできる筈がない。


20090201

久しぶりの日曜Hike。空もバッチリ晴天Hike。今日も強風、富士山並み。
目覚ましの音で目覚めるがどうも気が乗らん。夕べからの強風はまだ治まる様子は無い。このまま寝ちゃおうか? と耳元で甘い囁き。その誘惑をはねのけて飛び起きる。今日のtanuoさんは殊の外ストイックなのである。
…去年の正月以来お腹の周りに住み着いたメタボ脂肪、一向に転居する様子が無いのである。こうなったら立ち退きを強制執行するしかない。という訳で今日も涙ぐましい努力を重ねているのである。(徒労だったりして。)
風は強いが気温は高い。相乗効果なのか車には霜が降りていない。暖房なしでもいられるくらい暖かい。とは言えやはり暖房を入れなきゃチト寒い。
日曜は道路が空いている。大型トラックが少なく進路を阻まれる事もなく快適そのもの。おかげで早く着いてしまった。

6:50 a.m. 湯ノ山最奥駐車場着。
道中にも雪はなかった。駐車場にも残っていない。入り口の大きな水溜りで腹を擦らないようトロトロと進む。
雲に隠れていた御在所山頂はやっと姿を現した。まずはのんびりとオニギリを頂きながら山頂を眺める。
暫くすると急に赤く染まり始めた。東の方の雲の隙間から日が差しだしたようだ。久々のモルゲンロートだ。これで雪でも被っていたらさぞかし綺麗な事だろうに。

仕度を始めるとゴツンと大きな音。左隣の車のドアがうちの車に当たったようだ。1cm角くらいの大きさで隣の車の塗料が着いている。その下にはドアのエッジで着いたのか無数の擦り傷。あ〜、やんなっちゃう。
半開きにしていたのが重みか風でぶつかったようだ。人の良さそうな隣のおっちゃんは平謝り。そんなにペコペコされたら何も言えない。「もう良いですよ、お互い気を着けましょうね。」と言っては見たものの弱ったな。傷はコンパウンドで落ちる程度だがコーティングするとなるとまた1万円コース。もう放っておくか。外面は良い癖に小さな胸でヤキモキしてばかりのtanuoさんなのである。これで一気にモチベーションが萎えてしまった。(ウソウソ、もともとモチベーションなんて皆無のくせに。)
この手の車ってドアのヒンジが華奢なんですね。うちのDemio君も傾斜地に停めてドアを半開きにすると重みで動き、勝手に閉まるかどんどん開いて隣に当たるかします。欠陥という程ではないのかもしれませんがそういう事を知っていないと自分が加害者になる事もあります。
まあ気を取り直して…。でもやはり日曜は避けた方が良いのかな? メタボを取るか、トラブルのリスクを取るか、あなたならどっち?

そうそう、今日は新兵器を持ってきたのだった。デジカメのバッテリーが草臥れてきたのか低温に弱くなっていた。それで携帯カイロをカメラケースの内側に貼っておくのである。常時ケース内で保温されていればトラブル事もないだろう。
今日は出発前にカイロを開封したため、温度が上がっていなかったのか最初はトラブった。しかしその後は絶好調。次回からは家を出る時にセットしよう。しめしめ、これでもう暫くこのカメラで済ませられる。

7:25 a.m. でっぱつ。とんだトラブルで時間を取られてしまった。
が、いつの間にやら御在所には日が当たっている。モルゲンロートはとっくに消えてしまったが青空まで覗いている。う〜ん気分爽快。

登山道にも雪は全く残っていない。気温も高めだが風の強いのが気になる尾根に出ると寒くなるだろう。

思った通り尾根に出ると凄い風。雨を吸った雪が強風で締まり歩き易い。が気を抜くとやはりズボッ。
キレットは風の通り道か飛ばされそうなほどの風が吹いている。立っていられない。姿勢を低くして行く。まるで富士山並み。

その後暫くは風の陰を行く。

8:20 a.m. 北谷テラス着。ここも暴風域。フラフラヨタヨタ千鳥足。


8:35 a.m. 掘割を抜け岩稜帯。またまた強風、飛ばされそう。
眼前にはエルガーフェイス。こんな強風どこ吹く風。まったく威風堂々、巨人の姿。

強風で雲が飛ばされ時折青空が覗く。日が当たったかと思うや否やすぐまた灰色の世界。景色もめまぐるしく変わる。

山頂直下の登り。ほんとうにめまぐるしい。目の前のガスがどんどん飛ばされ晴天の伊勢平野が広がる。かと思えばまた一瞬にして灰色の世界。


8:55 a.m. 富士見岩展望台着。

陽光を待ちわびながらゆっくりと朝陽台へ。下からも見えていたが思ったとおり霧氷が綺麗だ。

9:05 a.m. 朝陽台着。

強風でロープウェイが動いていないのか、朝陽台は閑古鳥。
道草食いながら遊歩道を行く。

9:25 a.m. 望湖台着。
西側はガスの海。岩に付いた海老のシッポが綺麗。

さて、この後どうするか。そうだ、偶には国見岳へでも。じゃあ峠へはスキー場の横から。

雪原を降りそのまま国見岳へ。雪のおかげでどこでも道路。の筈が雪が少なくおまけにグサグサ。一見締まっていそうなのに体重を乗せてからワンテンポ遅れてズボッと踏み抜く。不意打ちを食らったような気分。おまけに股まで潜る。オマタで止まってはいるが踏み抜いた足の下にはまだ空間が広がっている。四苦八苦で抜け出る。大汗かいている時に限って日が射す。クソ暑いったらありゃしない。まあこれも楽しみなのですが。

10:00 a.m. 国見岳南面テラス着。
日当たりは良いが風当たりも良い。大休止するにはチト寒い。山頂の岩陰辺りにするか。


10:10 a.m. 石門着。石の上から霧氷の世界をパチパチ。

山頂へ向かう。ズボズボ踏み抜きあ〜大変。
突然空を覆っていた薄いガスが晴れ真っ青の空が広がる。辺り一面光の洪水。メッチャ明るい。


10:20 a.m. 国見岳山頂着。

真っ白の霧氷の向こうに大きく広がる伊勢平野。北に目を遣れば鈴鹿北部の山並み。
神々しいほどの景色を前にして私の身体は身動きが出来ない。息も出来ない。
出来ない筈だ。富士山並みの強風に前の岩に押し付けられていたのだった。風上を向いていたら息なんてできる筈がない。
ここじゃあ飯の仕度もできない。すごすごと引き返す。そうだ、国見尾根から降りよう。
古い踏み跡はあるが殆ど埋まっている。しかしそう踏み抜く事もなく快調に降れる。

10:40 a.m. 天狗岩着。あかん、飛ばされそう。とても天辺までは行けん。

海老のシッポをマクロで大写ししていたらいきなり岩に押え付けられる。
「誰だ、写真が撮れないじゃねーか。」と振り向くと誰もいない。あっ、風か。イタズラが好きな風である。
ここにも富士山の風がいた。

ユルギ岩の下の通行止めのテープは無くなっていた。通れるようになったのかな。
不動谷への分岐まで来ると看板に通行止めの印。紳士のtanuoさんはそれを無視することはできません。(て言うか、雪が少なくあまり面白そうでもなかったので。)
秋に来た時は尾根通しに降りたので、今日は裏道側へ降りよう。
薄く積もった雪とその下の濡れた落葉で滑りやすい。気を付けて〜。
降り始めると藤内がどんどん競り上がって行く。

よく見ると前尾根チムニーの上に人が。あっ、その下にも。そのずっと下、クラックの上にも。
へ〜、頑張ってるじゃん。


11:20 a.m. 裏道に合流。


11:45 a.m. 四の渡し跡。

スパッツでも外すか。ここも日当たりは良いが風が強い。大休止はパス。

そうこうしている内に日向小屋も過ぎスカイラインへ出てしまった。

12:20 車に帰着。
結局今日は行動中、水の一滴も飲んでいなかった。まあダイエットにはなったかな?
遠くから今朝の一件の傷を透かして見る。あっ、ほんの少し擦っただけと思っていたのに、しっかりエクボが出来ていた。まっいいか、エクボは朗らかさの証拠。ネクラよりはずっと良い。と言う事にしておこう。

天気もすっかり良くなり、御在所も朝とは違い明るい陽光に輝いていた。あ〜、綺麗綺麗。



2009年02月01日23時30分00秒 記

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