石楠花不作なり

鎌頂上下、左股降り口付近に赤い色は窺えない。
例年真っ赤に染まる石楠花の色だが、それが全く無いのである。
本当に今年の花木は全くの不作のようである。


20080524

金曜の夜、かみさんが言った。「午後四時までだったら車貸したげるわ。」
しかし天気予報では翌土曜日は雨だった筈。生返事のまま御在所通いの仕度もせずに就寝。

翌朝トイレに起きる。年寄はおしっこが近くていかん。時計を見るとまだ四時を少し回ったところ。雨はまだ降っていない。それどころか明るくなった空に月が白く霞んでいる。
「目覚めたついで、試乗会を兼ねて行ってくるか。」かみさんを起こさないよう、カーテンも開けず手探りで仕度を始める。
Auに入れっぱなしの荷物をDameo君に積み替えて…、なにか忘れ物をしているような、そうでもないような。

Dameo君は軽快に走る。まだ馴らし中だしエコラン時の燃費も知りたいしと、のんびり走っていても気軽にひょいひょいと動き回れる。車重の軽いコンパクトカーならではの軽快さだ。
道中から雨を覚悟していたが全く降りだす気配は無い。最初から傘差しHikeのつもりでも、降られないにこしたことはない。神経質なtanuoさんは濡れるのが大嫌いなのである。「雨が降ったら濡れれば良いさ。」という歌詞は痩せ我慢の極致なのである。

朝のお勤めの為、鳥居道駐車場へ。先客あり。見覚えのある車だ。顔さえ合わせなければこの車が私とは解からないだろうとトイレへ。が、その前で鉢合わせ。臭い仲になってしまった。
しかしこんな天気でよく来ますなあ。あっ、人の事は言えないか。但し私の場合は単なる暇つぶし兼メタボ予防。Iさん夫妻のようにモチベーションの塊とはチト中身が違う。

6:50 a.m. 料金所跡駐車場着。
こんな天気でももう何台かが停まっている。最近の中高年はモチが高いからなあ。動機不純のtanuoさんはいつも負い目を感じながら歩いているのである。「ああ、あの頃に戻りたい…。」(うそうそ。現状で満足している無気力なtanuoさんなのである。)

7:00 a.m. 出発。天気予報では午前中は曇りだとか。出かける前に予報を確認する事自体モチベーションの現われである。それにひきかえこの私は…。
湿度のおかげと気温の低さのおかげで爽やかだ。この大気の喉越しの良さ! 風呂上りのビールには敵わないが。

7:20 a.m. 負バレ石着。
シロヤシオも終わり次々と季節の花が入れ替わってゆく。

時々薄日が射す中を行く。この分なら午前中は天気も持ちそうだ。
柔らかな曇り日の光線に新緑が一層鮮やかさを増している。

7:50 a.m. 北谷テラス着。写真を撮る所が無いとペースが速い。

この辺りのシロヤシオももうすっかり時期を終えている。今年は花付きも少なかったが時期的にも終わるのが早かったようだ。手抜きでさっさと片付けておき、来年に託すつもりでいるかのようだ。まるで思考力を備えているかのようなしたたかさである。自然の草木にはあたかも人智の及ばない能力が備わっているかのようだ。

樹木の花が少なかった事への埋め合わせでもあるかの如く、草目の花が賑やかだ。麓から上まで全域に亘ってイワカガミが咲き続けている。もともと花期の長い草目ではあるが、こんなに長期間に亘るのも珍しい。


8:10 a.m. 岩稜帯着。
新緑の鮮やかさ、屹立する岩峰、流れる霧、幽玄の世界が眼前に広がる。


8:25 a.m. 富士見岩展望台着。

朝陽台へ向かう。
先週蕾だった朝陽台のシロヤシオももう草臥れかけている。下草が刈られておりチゴユリやササユリが姿を現している。当然ササユリはまだ蕾も付けていないが株自体は多い。

遊歩道を望湖台へ。三角点への階段の脇にはチゴユリが密生している。去年までこんな所にはなかった筈だが、こうやって植生は常に変わり続けているのだろう。近頃は生物の多様性がよく言われる時代である。身近にあるこんな遷移も自然の豊かさの一面なのだろう。


8:55 a.m. 望湖台着。当然のことながら、な〜んも見えん。
三角点-望湖台の歩道の北側に沿うように笹を切り開いた道が出来ていた。現われた切り株などは切ってから相当期間が過ぎているようで、ずっと昔の登山道の跡のように思える。これがそのまま国見峠への谷筋の道に繋がっていたのかもしれない。
その道沿いには石楠花が咲いている。これももう時期が遅いようだ。

記念碑広場を行く。先週あんなに咲き誇っていたタテヤマリンドウは全て花を閉じている。日照に合わせ開いたり閉じたりと律儀な花である。
ぼちぼちサラサドウダンが咲き始めている。まだ花が小さいが来週辺りには粒も大きくなっていることだろう。しかしこれも花付きは少ない。


峠道を行く。ベニドウダンもぼちぼち。


9:40 a.m. 武平峠着。
Iさん夫妻は今日は早仕舞いでここからエスケープ。この時刻では温泉にはまだ早いので、私はメタボ予防を兼ねて鎌まで。幸いまだ天気は持ちそう。


10:00 a.m. 展望岩着。小休止して燃料補給。

鎌頂上下、左股降り口付近に赤い色は窺えない。例年真っ赤に染まる石楠花の色だが、それが全く無いのである。曇りの所為で御在所からも望めなかったが、ここから見ても花らしいものは全く見えない。本当に今年の花木は全くの不作のようである。
それに比べてこのイワカガミの多さはどうだ。道端のあちこちに嫌になるほど咲き誇っている。


10:25 a.m. 鎌ヶ岳山頂着。
所狭しと中高年の団体さん。いや、もうこの表現は適切ではない。今時山へ来るのは中高年しかいない。Iさんの話では涸沢で会った人は中高年ばかりだったとか。中高年などと言わなくても山で遭う人はすべて中高年なのである。かく言う私も例外ではない。もはや昔の山とは様子が違うのである。
人波を掻き分け、泳ぐようにして祠へ。そして南側は霧に閉ざされたまま。

左股下降点の石楠花の様子を窺うべく長石尾根降り口へ。また人波を掻き分けながら…。
凄い人口密度である。こんな天気にも関わらず、こんな大所帯で来る事自体脅威である。その協調性、連帯感、情意の高さ…。団塊の世代の象徴でもある。

左股下降点の石楠花を登山道から窺う。本当にしょぼい。例年では考えられない貧弱さだ。このまま絶滅してしまう事はないとは思うが、毎年元気だったものがこうも急に衰えてしまうとその心配も出てくる。
笹薮に分け入り近くでパチリ。

この少なさでは御在所から見えなくて当然か。


三ツ口谷へ降る。

谷沿いの滝を愛でながら行く。


スカイライン沿いにはヤマツツジ、タニウツギ。もうそろそろ卯の花の季節でもある。そういえば御在所山頂でもホトトギスが鳴いていたなあ。
花の出来不出来に関係なく季節は過ぎて行くのである。


11:40 a.m. 車に帰着。
片付けものを済ませ車に乗り込もうとするといきなりパラパラパラ。そしてそのまま本降りに。
なんというタイミングの良さ!
晴れ男、健在なり。

ウェルネス鈴鹿路(旧ヘルシーパル湯ノ山)で入浴。スタンプが10個となり無料入浴券を貰った。最近はここばかり。希望荘より空いていて良い。


2008年05月25日12時20分00秒 記

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送