春の嵐

季節はもう春。
雪が遅かった所為か、つじつま合せに今日も雪。
それも季節の移ろいには抗えず、雨混じりのビチョビチョ霙。
そして山頂は霰吹雪。
寒さ、冷たさより顔が痛い。
バチバチ、バチバチ、勘弁して〜。


20080301

ここ暫く毎週土曜に(山の)天気が崩れる。
浮気をした覚えは無いが、どうやら御在所の神様に意地悪されているようである。
偶にはキーンと晴れ渡った青空をバックに、真っ白の山の姿を望みたいものである。

早朝、自宅を出ると地面が濡れている。朧月は見えるが、いつ降ったものやら。そしてカルちゃんのフロントガラスにはベルグラ?が…。しかしこいつはちっとも剥がれない。ガラスと一体化しているようである。「こんなんなら登り易かろうに。」アホな事言っとらんとさっさと掻き落とせよ。全くtanuoさんはおバカなんだから。
ほんの一部分だけ氷を掻き落とし、そこから外を覗き見しながらの運転である。無精にもほどがある。が、走り出すと直ぐ融け始めた。季節は弥生、もう春なのである。
薄曇のようだが細かな雨滴がフロントガラスを濡らす。今日も小雪かな? 先週のように本降りじゃ無きゃ、行くだけ行って見よう。

菰野に入ると驟雨である。湯ノ山まで来ると雨滴に固形物が混ざり始める。雨なら止め、雪なら散歩して来よう。

湯ノ山最奥の駐車場には常連さんの姿。そしてかなり激しい霙の吹き降りである。風も無くしんしんと降っている程度なら散歩も良いが、これはもう嵐である。その嵐を突いて出かけるご様子。私ゃ、よう付いて行けません。暫く様子見の為、一眠り。
暫くして車のヘッドライトか、一瞬周りが明るくなった。もう暫くすると出かけた筈の常連さんが帰ってきた。どうやら先程の光は雷だったらしい。霙の降り続く中、御二方は躊躇して濡れるがまま立っている。あまりにもみすぼらしいので暖房の効いたカルちゃんの中に招き入れる。そして様子見の間、暫し雑談。
薄暗かった空もだんだん明るくなってきた。霙も雪に近くなり大分弱まってきた。
小降りになってきたのを見計らい、御二方は出かけて行った。長石谷を行ける所までとか。そう言いながらも鎌まで行っちゃうんだよな。全くタフな人達である。
そして私は、もう一眠り。

車の音で目覚める。時刻は8時を回っている。相変わらず雪が舞っているが、空はかなり明るい。灰色一色だった前方に雪を被った御在所が一瞬姿を現した。
先週もサボったし、ちょっくら行ってくるかな? とおもむろに仕度を始める。
果報は寝て待て。待てば海路の日和あり。いや山路の日和あり、かな?


8:35 a.m. でっぱつ。舞っていた雪も殆ど止んでいる。足元の雪は水分をしっかり含みグサグサである。鈴鹿の雪、三月の雪。今年の雪は不作であった。

ホント、今年の日記には綺麗な雪景色が一枚も無い。せいぜいスキーの写真くらいである。あなわびし。

樹林帯の中では霙が降っている。先程まで降り積もった枝の雪が雨霰と降ってくる。こりゃ敵わん。雪より酷いビチョビチョのカキ氷である。傘なぞ置いてきた。合羽を着るには暑すぎる。樹林帯を抜けるまで暫く我慢の子。


9:10 a.m. やっとオバレ石。樹林の切れ目で一休み。

もう暫くで尾根に出る。上着もザックもビッチョビチョ。

この先の吹き溜まりも潜ることなく至ってスムーズ。このトレース、きっと先週のIさん夫妻のものだろう。山頂直下のガレの上で断念したそうだが、そのおかげで私ゃしっかり楽してます。

9:50 a.m. 北谷テラス着。
止んでいた雪もこの辺りからまた降りだす。強風で吹き付けられ顔が痛い。時折飛ばされるほどの風が吹く。こりゃ低気圧の中ですな。


この上の掘割は殆ど雪で埋まっている。先週のIさん情報にあった、横の土手に逃げたトレースもしっかり残っており、「あっ、ここの事だな。」と直ぐ解る。さぞかし大変なアルバイトだった事だろう。一週間の内にトレースもしっかり締まり、それを辿る私ゃ楽チン楽チン。


10:10 a.m. 岩稜帯着。

この先のトラバースも雪がたっぷりでもうウハウハ。なにもかも雪に埋まりどこからでも行ける。
テラスの上から降雪に霞む富士見岩尾根の側壁を見る。いつもの御在所じゃないみたい。

この先の深雪地帯、ガレ、その上とトレースを行く。踏み跡は新雪で既に消えかかっているが外しさえしなければ潜り込む事は無い。試しにトレースを外してみたら、ズボボボボボボ〜。軽く胸を越えてもまだ止まらない。先週のI夫妻の消耗が理解出来る。ここまでラッセルを続けとうとう断念したとか。それを殊の外、悔しがっていた。凄いモチベーションに感服する。それに比べ私のモチがのらん事といったら…。これって精神の老化の証拠かな? やべえやべえ。

10:35 a.m. 富士見岩展望台着。なーんも見えん。朝陽台経由で遊歩道へ。
山頂は季節外れの吹雪である。それも固い霰。強風に飛ばされ真正面から顔面直撃。バチバチと痛い。目も開けていられない程である…と思ったら除雪で飛ばされてきた氷の粒の直撃だった。どおりで粒がデカイ筈だ。
除雪機をかわすと今度は本物の霰。やはり痛いが氷の粒ほどじゃあない。天災より人災の方が被害が大きいようで。

10:45 a.m. 旧カモシカセンター玄関で雪を避け小休止。かなり降ったようだ。この人の背丈ほどの雪を御覧あれ。

そして外はこんな様子。何が果報は寝て待てだ。結局山頂は吹雪じゃないか。こんなことなら朝風呂にでも浸かっていれば良かった。…また軟弱の虫が鳴いてますな。

軟弱の虫の鳴きついで。来た道を引き返そう。峠道へ降ってもトレースは無いだろう。峠道だけなら雪泳ぎも良いが平坦なスカイラインのラッセルは御免蒙りたい。軟弱tanuoさんは楽する事ばかり考えているのである。いや、これは単に楽をしようとしているのではない。全てリスクマネージメントなのである。山でのリスク回避は当然の事なのである。努々、tanuoさんを軟弱者と決め付けないで頂きたい。ナンチャッテ。
そうと決まれば、善は急げ。来た道を引き返す。相変わらず顔が痛い。フードを出してほっぺを防護。
深い雪の中、朝陽台へ登るのをパスして中道への巻き道へ入る。が、これは失敗。トレース全く無し。綺麗に雪に埋もれた斜面のトラバース。ヒーヒー喘ぎながらやっとの事で富士見岩展望台前へ合流。あ〜、死ぬかと思った。

さてここからは降り。折角のステップを崩さないように処女雪の斜面を駆け下りる。傾斜が急なおかげで雪の抵抗を体重で押し潰して行く。ああ快感。
ガレ横のトレースを人が登ってくる。邪魔にならないようしっかり雪を被ったガレを駆け下りる。
あれれ〜、雪が薄い。下はもろ岩だった。ズズズ〜と滑って行く。おかげで降りの速い事速い事。
トレースを避け、あちこちショートカット。雪が付いてるっていいな。どこでも道路。僕の前に道は無い。僕の後に道は有る。高村光太郎か?


11:20 a.m. キレット着。
ここまで来ると雪も止み風も弱まった。薄日も射している。ちっとは汗もかいた事だしメタボは解消されたかな。

ここまで来たら慌てる事も無い。そう、慌てる乞食は貰いが少ないのである。慌てず焦らずゆっくりと写真でも撮りながら降ろう。

しかし暗い写真ばかりだなあ。「青空出て来〜い。」

相変わらず慌てず焦らず順調にショートカットの連続である。ところどころで空洞に嵌り込み四苦八苦。こんなところに空洞なんか開けとくなよ。しっかり水分を含んだ重い雪なので身体を出すのが大変。落ちるように前へ前へ。勢い余って前のめりにでんぐり返り。

下まで来るとまた牡丹雪が降り出した。なんとも鬱陶しい天気である。
春の雪、鈴鹿の雪、ベッチョベチョのビショタレ雪。

12:05 車に帰着。
Iさん、Oさんの車はまだ停まっている。長石谷は雪が深くて梃子摺ってるのかな。案外武平峠へ降りたのかもしれない。もしそうだとスカイラインが大変だぞ〜。
いや、軟弱で言っているのではない。あくまでもリスクマネージメントです。

ドMの御二方は置いといて、ノーマルのtanuoさんは早々とご帰還です。
さあ二週間ぶりの温泉温泉。


2008年03月01日20時40分00秒 記

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