新雪パフパフ 長石谷

近年稀に見る大雪。
山頂東面から続く新雪の斜面。
雪崩れた跡もはっきりと。
まき込まれないよう大急ぎで駆け下る。
歩く傍から表層雪崩れ、おっとどっこい、スタコラサッサ。


20060204

湯ノ山温泉街辺りから新雪が被り轍の深さが20cmくらい。先行車はトレッドが広く地上高も高い。オフローダーかワンボックスか? こちらも轍を外れ新雪をかきあげながら行く。軽い。腹を擦る音も抵抗もない。
調子に乗り過ぎるとスタックの可能性もあるので場所によっては謙虚におとなしく。

7:05 a.m. 湯ノ山最奥駐車場着。
先行車はデリカスペースギアが1台のみ。雪はしんしんと降り続いている。そのせいか今日は静かだ。
降りしきる雪を通して御在所が薄っすらと覗いている。少し赤みを帯びているような。

7:25 a.m. でっぱつ。
この天気じゃあ、今日も鎌まで行けないかも。去年もなかなか行けなかったし、だんだん軟弱になっていく。まっいいか。軟弱なのは今に始まった事じゃあ無いし。

気温が高くジャケットを着ていると暑い。かといって脱ぐと湿雪でグショグショになるし。これだから鈴鹿は嫌いだ。…本番行くほど根性無いくせに…
結局暑さに負けて濡れを覚悟でジャケットを脱ぐ。いや既に汗でぐっしょりとなっていた。
新雪は凄く軽くて全く抵抗が無い。でも下の雪が結構固くよく滑る。それにデコボコが激しくよくバランスを崩す。草臥れちまうぜ!

8:30 a.m. キレット着。風が無くしんしんと降る雪に視界が悪い。

凹角下はステップの無い締まった雪の上に新雪が被りよく滑る。つまさきを蹴り込みながら来たがあまり入らず神経を使う。それにつまさき立ちの為ふくらはぎが攣りそう。…やはり軟弱ですな。
北谷テラスを過ぎた所で観念してアイゼンを着ける。今年初めて。あれっ、去年って一度も着けてないような…。いつもいつも使いもしないものをよく持ち歩いてますなあ?(我ながらアホウな人ですな。)

9:10 a.m. 岩稜帯着。


直下のルンゼを直登する。ほぼ登りきった所で足の感覚がおかしい。ツァッケが効いてない。「ままよっ。」とばかり体重を預けたら「ズルッ。」つるはしの効きそうな所まで滑ってから止めようと仰向きになるが、運良くその場で反対側の足が雪面をつかみ落ちずに済んだ。
「ああ、哀しいかなロートルおじさん!」こんな事があるからだんだん根性が萎えて来るんだなあ。「さて、どうやって体制を整えるか?」ふと滑った所を見ると新雪が剥げた下は黒光りの透明氷。「こんなまんまるツァッケ、効くわけねーや。」右よりにルートを変え直上。
振り返ると樹氷の競演。不安定な足場を固めパチパチ。

そのまま富士見尾根へ。雪が多く幅広のなだらかな尾根に見える。尾根の向こうに菰野の街並みや湯ノ山温泉街がぼんやりと霞んでいる。


9:35 a.m. 富士見岩展望台着。
この辺りまで来ると気温も相当下がり、来ているカッターの肩の辺りが凍り始めた。ゴワゴワと気になる。下で濡らし過ぎたかな? でもその内湿気が抜け元に戻るだろう。
朝陽台へ向かう。

朝陽台からは林の中をショートカットして遊歩道へ。そのまま峠道へ向かう。
三角点への分岐を過ぎると大量の雪で遊歩道が斜面になっている。これだけあれば豪華な雪洞が掘れます。3畳くらいのLDK+1畳の土間+男女別々のトイレ。うーん、間取りを考えるだけで楽しいですね。(本物の家も雪で作れるとタダなのに…。)

時々薄日が射す。急いでカメラを出すと曇ってしまう。諦めてカメラを出さずにいるとずっと晴れたまま。「おい、お日様、いいかげんにせーよ!」


先週の雪はサラサラの密度の高い乾燥雪。今日の雪はフワフワの軽い乾燥雪。どちらも最高に美味しい雪です。
締まった雪の上に乾燥粉雪が被った状態なのでワカンなしでも左程潜る事も無く、どこでも道路でスタコラサッサ。

10:40 a.m. 武平峠着。

あまり軟弱なのも考えもの。少しは向上心を持たなくては。てな訳で燃料補給の後、鎌方面へ。しんどかったら三ツ口谷から雪滑りで降りましょう。
で、まずは最初の雪壁から。もうウハウハですわ。
その後も結構雪が締まっており、疲れ知らずでスタコラサッサ。
展望岩手前のルンゼの雪壁は期待外れ。傾斜も緩く高さもない。あっけなく乗越す。
尾根に出たところで、鎌ヶ岳は見えず。相変わらず雪がしんしん。

雪庇に気を付けながら行くと三ツ口谷源頭。

まだ11:30 a.m. 意外に楽に来れてしまった。ついでだから山頂まで行く。
降りしきる雪の中、時折青空が覗く。神様、じらさないで。


11:55 a.m. 鎌ヶ岳山頂着。
今年も雪が多い。祠に初詣。未だ完全に雪に埋もれてなくて良かった〜。

雪は一向に止む気配無し。じっとしていると寒い。水筒の水も凍り始めている。ツェルトを出して大休止する気も無い。早々に立ち去る。
降りは…、長石谷にする。

12:05 出発。夏道通しに降りかけるが、左手を見ると一面の滑り台。山頂から東面へ一気に落ち込んでいる。なんと言う雪の多さだ。見た瞬間身体が勝手にそちらへ向かっている。
駆け下り始めると軽い雪が一緒に流れ始める。それが止まらずずっと下まで大きな流れとなり落ちてゆく。
「ヤバッ!」つるはしのシャフトを深く打ち込みアンカーとし、左をもう一度確認する。
視界が悪く気付かなかったが、よく見ると山頂から新雪の流れた跡がある。幅も深さもそう大きなものではないが、一気に下まで行っている。この谷は鎌東側の小ピークの裏(北東)へ落ち込んでいる。
「あんな程度でも流されたら下まで持って行かれる。」急遽シャフトを深く刺しながら右手へトラバース。目の前に岳峠への谷。「えっ、もうこんな所まで降りてきてたの?」降りは速い!
こちらの谷も鎌本峰側(西側)には表層雪崩れの跡が。なるべく左よりのブッシュの出ている側を駆け下る。崩した雪と競争しながら駆け下りる。
岳峠へトラバったりしたらそこを境に雪崩れを起こしかねない。そのまま左寄りのルンゼを駆け下る。
夏道無視で谷を行く。樹林帯に突入した所で一安心。ここまで来れば傾斜も緩いし立ち木がバッファーになってくれる。
しかし、パフパフの最高に旨い雪だったな〜。
それがまだここからもずっと続いているのである。長石谷ってこんなに広い谷だったのか。

パフパフ尽くしでウハウハです。行けども行けどもパフパフです。
時々石の隙間に嵌まり込みますが、羽根布団の中を転げ回っているようなものです。
いいかげん草臥れてきた所で嵌まり込み前のめりに雪の中に投げ出される。起き上がると対岸に犬星滝。

滝の前まで行き小休止。
その後もずっと雪の上。傾斜が緩くなり谷の流れが出て来ると気温も上がりズボズボし始める。
滑滝の周りもご覧のありさま。

着けっぱなしだったアイゼンを外し身軽になる。堰堤近くでもまだこの雪の量。降りだから楽しく降りてこれましたが、登りはきついでしょう。特に岳峠付近は雪崩の危険もあります。長石詰めるのは新雪が落ち着くまで待たれた方が宜しいかと思います。


14:05 車に帰着。
今日は生憎天気が悪く写真の発色は悪かったですが最高のパフパフ新雪が楽しめました。いつも通り軟弱を通していたらこんな楽しい事を逃がすところでした。いつも冒険心と積極性を持ち続けないと折角のご馳走を逃す事になりかねません。
しかし旨い雪だったな〜。いただき過ぎてもう入りません。「ゲフッ。」


帰り道、コンビ二でのカルちゃん。
顔中はなたれで凍りついたまま融けません。



2006年02月04日23時30分00秒

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