秋風のメロディー

久方ぶりの晴天。
鈴鹿にも秋の涼風が吹き始めた。
スカイラインも通れる事だし久しぶりに雨乞岳にでも。


20041016

星を仰ぎながら荷物をボロ車に放り込む。
肌寒い。ヒーターを入れる。長袖の上着を羽織ってはいるが裸足に草履ばきでは足元が寒い。

順調に流れていた23号線だが十一屋交差点手前の陸橋でピタリと止まってしまった。
後はノロノロの大渋滞。事故かな?と思っていたらやはり。庄内川の橋の上で事故車が一車線塞いでいる。結局30分強のタイムロス。
事故で他の車に迷惑をかけた車は車線占拠料として道路管理者に料金を払うようにしたらどうだろう。鉄道だって停車時間分の迷惑料を取っているのだから。
そうすれば無謀運転が減るかもしれない。またその資金は道路の補修費に充てたらどうだろう。
そうでもしなきゃあ迷惑を被った腹の虫が治まらない。
結局30分遅れで武平峠駐車場着。
7:40 a.m. でっぱつ。本当に久しぶりの好天だ。


入山口にログで作った入山届けのポストが建てられていた。
入山届けって一度も出した事がないが、出さなきゃいけないものなのだろうか。こんな事書くとまた顰蹙をかってしまいそう。・・・ないしょないしょ。

急な登りが無いのと涼しさのおかげで汗もかかない。メチャクチャ爽やか。

8:30 a.m. クラ谷に合流。7月のコクイ谷でクラ谷の土砂の様子が気になっていたが結局今日まで来る事は無かった。
よく見るとやはり砂利が多い。深い渕が殆ど埋っている。川岸がえぐられ登山道のすぐ横まで削られている所もある。
こんな上流部でこれだけの猛威を奮うとは余程降ったのだろう。


9:05 a.m. 七人山のコル着。木漏れ日が綺麗だ。


下草が少なくとても歩き易い。笹トンに突入しても刈り払ってくれたようで中腰にならずに歩けて調子が良い。おまけに今日は湿度も低く汗もかかずヒンヤリしたトンネルを通る事ができた。
おおかた何処かの山岳会の人達が刈ってくれたのだろう。感謝!
調子に乗ってかがまずに歩いていたら張り出した木の枝にしこたま頭をぶつけてしまった。やはり中腰で歩いた方が良さそう。

9:25 a.m. 笹トンを抜ける。後は膝くらいの低い笹の中を行く。
振り返ると御在所が「こんにちはー。」

9:35 a.m. 東雨乞着。遮る物の無い2πラジアンの展望を満喫。

雨乞本峰に向かう。笹が刈り込んであるので、大波小波の笹の大海原を泳ぐわけにはいかない。
罰当たりな事言ってすみません。でもあの大海原を泳ぐような感覚も楽しいものです。

9:50 a.m. 雨乞本峰着。

鎌ヶ岳と綿向山だけを撮ってそそくさと杉峠に向かう。
こちら側の笹は刈り取っていないようで格闘を強いられる。春先のしなやかな笹が秋には竹と呼ぶ方が似合うものになってしまい、おまけに変な癖がついているため半袖シャツから出ている僕のかぼそい腕を傷だらけにしてくれる。
たちの悪い笹は山頂付近だけなので直ぐ快適な登山道に変わる。


10:00 a.m. 杉峠着。

久しぶりにイブネまで足を延ばす事にする。


昔に比べずいぶん笹が貧弱になったと思う。踏み跡を外したら大変な思いをしたものだが、今では何処でも好き勝手に行ける。所々完全に笹が枯死してしまった広場が出来ている。このままこの辺りの笹は消えてしまうのだろうか。こんな状態では大雨で表土流出、山肌崩壊なんて目に見えている。国定公園内では植樹も出来ないのだろうか。
(歩き易いのは我々にとって好都合ですが。)
10:35 a.m. 佐目峠着。
ここもご覧のありさま。一体どうなっちゃったんでしょうね。


10:50 a.m. イブネ北端着。本当に笹が少ない。年々減っていくようだ。
あまりにも少ないのでクラシまで足を延ばす。
実は私、クラシって行った事が無いのです。昔は御在所がメインだったのでたまに雨乞岳まで足を延ばすくらい。
人から聞いた話では、「クラシ谷遡行はブッシュとの格闘。死を覚悟しないと行ける所ではない。」との事でした。余程の物好きが行くところ。なんの見返りもなく薮漕ぎだけをする気になれないので全く興味が有りませんでした。
でも最近Netで見ていると、一般のハイカーが結構入っているらしく、「ついでにクラシ谷を下って愛知川経由で戻ろうか。」なぞとだいそれた事まで思いついていました。
天気も良いし、時間もそこそこある。お兄ちゃんが夕方車を使うと言っていたが、遅くなったら温泉をパスれば良い。
そして・・・クラシ山頂から南側の谷に降りて行く。木に掴まりながら降りて行くとすぐ沢に到着。(11:25 a.m. )

沢づたいに降り始める。「こりゃ尾根筋より楽だな。」なんていい気になっていたら、水音がだんだん大きくなってくる。
「もしかして、滝?」 不安的中。大きな滝が落ちている。「そんな、バナナ!」
Netの記事にはこんなデカイ滝が有るなんて書いてなかったぞ。滝横の急斜面を立ち木を頼りに降って行くが途中で進退窮まる。「ウー、ザイルが欲しい!」
諦めて登り始める。途中で踏み跡らしきバンド発見。これを伝い尾根に回りこむ。傾斜の緩くなった疎林帯を駆け降りる。が、すぐに枝沢が現れ傾斜も急になる。耳を澄まし滝が有るかどうか聞き取る。
所々炭焼きの窯跡に出くわす。かつて人が入っていたと言うだけで安心感が湧く。
水の少ない枝沢を選び降って行く。傾斜もだんだん緩くなってきた所で本流に合流。「もう滝なんて無いだろうな?」本流の横の段丘を行く。かつての道らしい。
沢は小滝の連続になる。さすがにもうデカイ滝は無いだろう。

緊張と疲れで足がもつれ始める。「ぼちぼち昼にするか。」 時計を見ると既に12時を大きく回っている。流れが緩やかになった広い河原で小休止。パンを齧る。時間が気になり紅茶を沸かすのはパス。

休憩もそこそこまた下り始める。擦り切れた古いペナント発見。人が歩いた跡のようなものも発見。もう安心。と思ったらだんだん大きな水音が聞こえてくる。この音は滝ではない。そうだ、愛知川だ。

愛知川を遡る。まだ水量が多い。いい加減草臥れているので渡渉点を探すなんて面倒な事はパス。浅そうな所を選びバシャバシャと行く。そのうち靴の中は水浸し。歩くとジュップジュップと音がする。
7月の砂利でもっと歩き易くなっているかと思ったが渕もしっかり出来ている。へつるのも面倒なので左岸の段丘上に逃げる。この角度からの方が水の色も綺麗だ。


13:00 上水晶谷出合通過。「えー? まだこんな所か。こりゃ温泉には入れないな。」

お兄ちゃんも遠慮してAuには絶対に乗らない。ボロ車が取り合いになり、遅くなると怒られちゃう。うー、軽太郎が欲しい。
また暫く川原を歩いたり、バシャバシャやったり。

13:25 コクイ谷出合着。小休止して燃料補給。

コクイ谷も結構深い渕が出来ていて渓谷美を醸し出している。7月に来た時はどうなる事か?と思ったが自然の自浄能力の速さに驚かされる。


14:00 沢谷分岐通過。
沢谷の滝の上から見るクラ谷は深い渕を擁し砂利なぞ全く見えない。カメラで写せないのが残念。


14:15 雨乞岳分岐着。15時頃には武平峠に戻れるかな? 17時ちょい過ぎには家に帰れるだろう。お兄ちゃんに怒られずに済みそう。

今日の行動はちょっと軽率だったかな? ザイル買おうかな? いやいや変な所へ行くのを止めよう。
でも久しぶりに若い頃に戻ってアバンチュールを楽しむ事が出来ました。本番もメジャーな所は薮漕ぎや懸垂なんて全く縁が有りませんが、マイナーな所だと、アプローチや終了後に木登り 薮漕ぎ 懸垂下降が待っています。本当の核心部はこちらの方だったりして・・・。やっぱり楽しかった。ちびりそうだったけど。

14:55 車に帰着。温泉パスで家を目指しGo!
温泉無しでは身体中汗でギトギトで気持ちわりー。


後日談   ('04.10/19 追加)

後日Netでクラシ谷を検索してみた。
結構沢山の記事がある。たぶんこの中のどれかを見たのだと思うが記憶が定かでない。
全ての記事に大滝の記述がある。全く何処を読んでいたのだろう。いかにいい加減に斜め読みしているかが解る。
クラシ山頂から下降の記事はなく、皆さん出合から遡行されている。
忠実に遡行すると途中で二股に別れているらしく、左股にペナントが有るそうだ。ペナントに従って行くと石楠花のジャングルを抜けイブネ北端からの尾根に出るらしい。
右股が例の大滝になっているらしく大抵の人はペナント通りに登っているようだ。ただ積雪期には大滝左岸側の斜面から登っている人もいる。雪があればこそのコース取りか?
無雪期にクラシ山頂側へ出るには滝下辺りから左岸を大きく巻いて尾根筋に出てしまった方が案外楽かもしれない。(また行きたいとは思わないが。)


2004年10月16日11時40分00秒

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